「住宅は人生の中で最大の買い物だ」とはよく言われる言葉です。
確かに、一千万円以上する買い物といえば、普通に生活をしている人にとっては住宅だけでしょう。
どんな買い物をする場合でも、「少しでも安くあげたい」「無駄遣いをしたくない」という気持ちに代わりは無いと思いますが、一番神経を使う業者選択、そして契約が済み、具体的な仕様打ち合わせという段階になると、誰もが必ずと言って良いほど陥りやすいトラップ(罠)があります。
それが、「ほんの少しの追加で◯◯◯◯ですよ」というグレードアップやオプション追加のお誘いです。
例えば次のような営業マンの言葉。
「現在の外壁塗装もそれは優れた仕様なんですが、契約金額の2500万に1パーセント追加するだけで、耐久性が50パーセントも向上する最高級グレードに変更できますが、いかがですか?」
2500万の1パーセントといえば25万です。
日常の買い物で25万と言えば大金ですよね。
大根の値段が10円違うというだけで少し遠いスーパーまで買い物に出かける主婦の方も多いようですが、そういう方なら25万と聞いただけでビックリして断ってしまいそうですが、こういう場合はあっさりと「その程度の追加でいいなら高グレードのものでお願いします」と返事をされる方も多いので不思議です。
人間の金銭感覚が本当に相対的なものなのだという事なのでしょう。
非常に安価な商品を買う時でも、住宅のような高額商品を買う時でも、知らず知らずの内に「総額の何パーセント」という相対的価値を判断基準にしてしまうようです。
よく言われる落とし穴「家づくりの時は日常的な金銭感覚がマヒしてしまう」という事ですね。
でも、こんな話をすると「一生に一度の買い物だから少しぐらい贅沢にしたって・・・」と反論を受けるかもしれません。
そういう気持ちも分らなくもないのですが、先ほどの塗装グレードはほんの一例に過ぎず、この調子でいけば、どんどん追加金額がアップしてしまうことにもなりかねませんので要注意なのです。
例えば
「ほんの5万円追加するだけで自動掃除タイプのとても便利で清潔なトイレに変更できますよ」
「今だけですが、本体金額の5パーセントアップで地震の揺れを半分に減らしてくれる制振装置をおつけできますが」
「たった10万追加して頂くだけで、すべての照明器具を寿命が10倍もするLEDタイプに変更できますが」
どうでしょうか、なんとなくその気になって追加してしまいたくなるのではありませんか。
そのものの価値を絶対金額ではなく、総建築費のうちの何割という相対的な金額で評価してしまうわけですね。
確かに予算に余裕がある方はドンドン追加して頂いても構いません。
でも、少なくともその時には即答はせずに、一旦帰宅してから、日常の自分の金銭感覚に照らし合わせてゆっくり検討して、それから追加の可否について判断されても遅くは無いと思いますがいかがでしょうか。