本文へスキップ

マイホームの新築時に気をつけておきたい注意点

建築資金について 

「ローコスト住宅がお得です」

説明図

家づくりにおいて決定的に重要なもの、それは建築資金です。
これがなければ家づくりの計画も何もできるはずはありません。
建築資金といっても、手持ちの預金、親からの援助、住宅ローンなどいろいろでしょうが、一部の人を除けばそんなに余裕のある資金組みはできません。
では、建築資金を初めに決めておきそれに沿って具体的な設計を進めるか、あるいは、こんな家を作りたいという設計が先に有ってその結果として必要な建築資金を算出するのか、どちらなのかというと、ほとんどの方は両方を同時に検討されます。つまり、建築資金をいくらにするかという計画と同時に自分の希望を盛り込んだ設計作業もおこない、試行錯誤しながら資金と設計案の妥協点をみつけだしていくというプロセスをとるのが普通です。

このプロセスの中でいろいろなファクターに優先順位をつけることになります。例えば、「外観」「断熱」「大きさ」「インテリア」「防犯」「耐震」「安心保証」等々、そして「建築費」など、どの項目を優先させるのかについて悩まねばなりません。「建築費」が下位の順位であれば建築費はどんどん膨れ上がり建築資金を圧迫します。
そして、その反対に「建築費」が最上位にあれば他のファクターを少なからず犠牲にすることになります。
この、コスト最優先で作る家を「ローコスト住宅」と呼びます。
そうではなくて、「こんな家が欲しいけど、できるだけローコストに」というのは「ローコスト住宅」とは呼びません。そんなことは当たり前だからです。
「初めに価格ありき」で間取りも材料も設備も、そして建築業者をも選んでいくのが「ローコスト住宅です。

ローコスト住宅と聞いて私がすぐに思い浮かべる家があります。
40年くらい前に建築雑誌で紹介されていた「屋根も外壁も石綿スレートで張った、まるで工場の外観のような木造住宅」です。
石綿スレートは、石綿(アスベスト)をセメントで固めた、主に外装材として用いられていた建材で、多くは波型に成形されて、その耐候性、耐熱性、耐薬品性の高さそして価格の安さから工場の外装などに盛んに用いられていました。
工場の外壁といえば波型石綿スレートがぱっと思い浮かぶほどポピュラーな製品でしたが、見てくれはいかにも安っぽいし、断熱性はないし、経年劣化が激しいし、物が当たると割れやすいという欠点も持っていました。それらの欠点に目をつぶって、住宅の外側全体に丸々使った住宅の写真を見たときは、「これぞローコスト住宅」と、とても感心した記憶があります。
ところが、石綿スレートはその後、発がん性があることがわかり、2004年に労働安全衛生法施行令の改正により製造が禁止されてしまいましたので、現在は建材として使われることはありません。使われないどころか廃棄処分にも余計なお金がかかる嫌われ者になってしまいました。あの住宅も多分もう取り壊されていると思いますが、結果的にローコストどころではなかったと思います。

この経験からか、私は、コストを最優先して他の要素を犠牲にしたローコスト住宅というものに対してどうしても懐疑的な思いをもってしまっています。

今は「ローコスト住宅」を謳い文句にした建築業者が多くあります。もちろん、そういう業者は、客が本当に必要とする要素を犠牲にしてしまっては売れなくなりますので、そういう要素は盛り込んだうえで「不要な経費をカットすることによってローコストを実現している」といいますが、世の中そんなにうまい話はありません。

ローコスト住宅は必ずいろいろな要素を犠牲にして成り立っています。
ローコスト住宅を検討する際には、どの要素を犠牲にしているのかをしっかりと把握して、本当にそれを犠牲にしても良いのかを確認するようにしてください。
価格の安さといった良いところばかりに目をうばわれずに、悪いところを積極的に探して自分の中で天秤にかけることを忘れないで戴きたいということです。


トップに戻るボタン

contents