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マイホームの新築時に気をつけておきたい注意点

業者との付き合い方について 

「前金を多くするとお安くなります」

「前金を多くするとお安くなります」説明図

住宅を建築する場合の支払い方法は大きく分けて次の三つです。

まずは、工事出来高払い。
これは建物が完成に向かって進むにつれて、それまでに出来上がった部分についての対価を支払うというものです。例えば今月は地盤補強工事が完成したのでその費用を、次の月は基礎工事の8割が完成したのでその対価を、というような支払い方法です。
出来上がった部分についてだけ支払うわけですから、施主側からみればリスクの少ない方法なのですが、実際の出来高に相当する金額はいくらなのかとか、本当にそこまで出来上がっているのかなど、施主と業者の間で見解の相違があるのが普通ですのでトラブルを起こしやすいという側面もあります。

第二は、工事前、工事中、完成時の三段階に分けて支払う三分割式。
工事前は契約時金、工事中は屋根が完成した頃に払う中間金、完成時は引渡し時に支払う最終金となりますので、予め時期と支払い割合さえ契約書に記載しておけばトラブルも起こりにくい支払い方法です。
ローンを組まない現金払いの場合、或いはこの支払方法でも可能なローンが組める方の場合には、一番よく用いられる支払い方法です。

工事代金3回払い


第三は、契約時には頭金、完成後にローンが下りてから残金を支払う2回払いの方法。
住宅ローンを建築資金の中心に考えている場合には、この方法が一般的です。
頭金をいくらにするかは、施主の自己資金がいくらあるのか、業者がどの程度おおらかか、によってマチマチです。頭金にどうしても3分の1は必要だという業者もあれば、頭金ゼロでもオッケーという業者もいるかもしれません。
この方法は、ローンが確実に実行されるかと言う点と、それを確実に支払ってもらえるかという2つの点で業者側にリスクがありますから、多くの場合は業者がローンの代行受領を可能とするような契約を結ぶことになると思います。

いずれの支払い方法にせよ、業者側とすればできるだけ契約金や中間金などの前金を多くしたいものです。なぜならば、その分、金利面で得をするのと、工事金の未払いリスクを減らすことが出来るからです。
ただ、今のような低金利の時代にせいぜい3ヶ月とか4ヶ月程度の資金前納で得する金利なんて、多寡がしれていますので、どちらかといえば後者の方がメリットは大きいと思います。

さてタイトルの「前金を多くするとお安くなります」という言葉ですが、上記のような二つのメリットぐらいで業者側が大幅値引きを持ち出すような事はあまり有り得えません。
大幅値引きは、契約をとれるかどうかの他社競合の場合には必要ですが、支払い方法を決める段階ではあまり必要性がないからです。

それでも実際には、ときどき耳にする言葉であることは事実です。
それは、上記のメリット以外のメリットがある場合です。
そのメリットとは【資金繰り】です。
中小企業の経営者が一番頭を悩ますのがこの資金繰りです。
事業をしていると、いつでも自由に使える手元資金には常に余裕が欲しいものです。収入があればそれが手元資金に追加され、支払いがあると手元資金が少なくなるのは当たり前ですが、一番怖いのは手元資金が無くなって支払いができなくなる事。

工事代金資金繰り
工事に当って、前金を少しでも多く欲しい時というのは、(特に経営基盤が整っていない業者の場合)この資金繰りが苦しいときが多いのです。
手元資金に余裕が無い時は、とにかく前金を多くしてほしいわけです。
但し、前金が多いということは施主にとってはリスクが増えることになりますので、施主にとってもメリットがあるかのように「前金を多くしていただければ、その分当社にとってもメリットが有るわけですので、お客様に値引きという形で還元できますが・・・」と切り出すわけです。

まあ、施主の自己資金に余裕があり、前金を多くして大幅値引きを獲得し、そのまま完成引き渡しを迎えれば、双方ともにメリットがありメデタシメデタシで終わるわけですが、前金を多くするということは施主側のリスクが増えることですので、万一工事途中で業者が倒産などしようものなら取り返しの付かない事態を招くこともあります。
しばらくまえに、〇〇ハウスの倒産騒ぎの時に、倒産間際にセールスが前金集めに奔走した事実があったことがニュースでも大きく取り上げられました。

大幅な値引きをエサに前金を多くするように誘われる場合は、業者がそれだけ資金繰りに困っているのかもと考えて、特に慎重な対応をされることをお勧めします。



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