本文へスキップ

マイホームの新築時に気をつけておきたい注意点

設計、間取りについて 

「親世帯は1階、子世帯は2階」

ホームエレベーター説明図

これにはいろんな要因があるようですが、最近は特に二世帯住宅が増えてきたように感じます。
私の経験から言うと、親世帯が定年を迎えて退職金が手に入る頃、子世帯に子供ができ(あるいは増え)賃貸住宅が手狭になってきたと感じる頃、「そろそろ親世帯が住んでいる古い家を取り壊して二世帯住宅を作ろう」という話が持ち上がるというケースが多いようです。

さて、話はトントン拍子にすすんで、それなら二世帯住宅の間取りをどうしようかということになり、住宅展示場を見に行ったり住宅雑誌などを購入したりして検討を始めると、ほとんどの間取りが「親世帯は1階、子世帯は2階」というプランになっているのに気づきます。

住宅業者に相談して新しくプラン提案をしてもらっても、当然のようにそのパターンの間取りが出てきます。
このパターンが提案される一番の理由は親世帯への配慮です。親世帯がだんだん年をとるに従って階段の上り下りがつらくなり、ひょっとしたら車椅子での生活を余儀なくされる可能性もあるからというわけです。
仮に、1階は日当たりが悪く2階の方がはるかに明るくて眺望がよいような立地の場合でも、親世帯が「わたしたちはまだまだ足腰は丈夫だし、2階のほうが住みやすいからそうしたい」という希望をもっていたとしても、結局は子世帯から反対されてありきたりのパターンに落ち着いてしまうのではないでしょうか。

二世帯住宅


さて、本当に親世帯が2階ではいけないのでしょうか。
そんなことはありません。問題は階段の上り下りだけですから、そこさえ解決してしまえばいくらでも自由に間取りを考える事ができます。
「2階はすべて親世帯」でもいいし、建物を縦に分割してそれぞれの世帯の独立性を高めるプランも大いにありです。縦分割プランは上下階の音の問題も解決できますし、将来家族構成が変わった(親世帯が亡くなり、孫世帯ができるような)場合でも柔軟に対応することができます。

ではその階段の問題を考えてみましょう。
二世帯住宅の階段
まずは、本当にお年寄りは階段を使わないほうが良いのかどうか。
最近は、どんどんお年寄りが元気になって来ています。定年後といってもまだまだ10年や20年は足腰の心配をしなくても良いような時代になってきています。
それに、足腰の筋肉は使わなければ段々衰えていきますから、階段を一つの健康器具と考えて、むりやり使用するようにしたほうが体のためには良いという意見もあります。
つまり敢えてバリアフリーは止めるという考え方ですね。私は本人が納得すればその方が良いのではと思っています。最近はバリアフリーという言葉が先走りすぎて、人間が本来持っている危険回避能力を鈍らせ、本当の危険に対応できない様にしているのではないかという危惧ももっています。
万一、上り下りが困難になった場合は、階段部分に後付できる階段昇降機というものがあります。階段の壁にレールを這わせて腰掛式の電動昇降装置で上り下りするというものですが、直線階段なら50〜100万円で取り付け出来ますので、階段幅を少し広めに設定しておけばいざという時にも困らないと思います。

次にホームエレベーターを使うという選択です。
エレベーターがあれば階段の上り下りという問題も一気に解決します。工事費用は安いものなら200〜300万で可能ですし、年間維持費も5万円ぐらいで済みます。
もし、エレベーターを付けても良いというのであれば二世帯住宅の間取りの自由度も格段にあがります。それこそいろんなプランが考えられますので設計者としても腕の見せどころでしょう。
これから二世帯住宅を検討される方がいらしたら、是非ホームエレベーター付きのプランも同時に作成してもらうことをおすすめします。
もちろん、新築時に初めからエレベーターを設置してもよいし、万が一足腰が不自由になった時のために簡単に設置できるような空間(つまり2階の床の取り外しができ、設置可能な構造強度をもたせたもの)だけを用意しておき必要になるまでは納戸として使うという手もあります。

二世帯同居というのは、異なる生活形態をもつ家族が同居するわけですからいろんな(もちろん良いところも悪いところも含めて)問題も起こり得ます。
幸せで楽しい生活ができるかどうかは各人の意識や行動に負うところが大きいのは当然ですが、間取りの良し悪しも大変重要なポイントです。
はじめから「親世帯は1階、子世帯は2階」という既成概念にとらわれずに、自由な発想で家族全員にとって最適なプランを探されることをおすすめします。




トップに戻るボタン

contents